奈義町皆木 雪害修繕工事 凍害による棟の崩れ 隅棟の積み替え 長屋
雪害修繕工事 凍害による棟の崩れ 長屋隅棟の積み替え。
凍害によって隅棟の崩れが起っていて、隅棟が人の通り道になる場所の上になっていたので危険性も高く、積み直し工事になりました。

漆喰が崩れ、中の台土も流れ出てしまっています。雁ぶり瓦も外れています。
屋根の棟(むね)部分に起こる凍害(とうがい)は、特に寒冷地で注意が必要な現象です。簡単に言うと、台土に含まれている水分が気温の低下によって凍ったり溶けたりを繰り返すことで、写真のように、内側の土がボロボロに劣化・破損してしまう現象です。

倒壊の恐れのある隅棟を解体し、新しい瓦を使用して、隅棟に積み替えていきます。
新しい台土は配合土といわれるものを使用しています。セメント・真砂土・粘土質の土をミキサーで混ぜ合わせたものです。
台土は棟瓦を支える役割を果たしています。しかし、土なので水に弱く、雨風にさらされると流れ出てしまう恐れがあります。そこで、漆喰を塗って台土を覆い、風雨から守るのです。
また、漆喰は呼吸する素材とも言われ、湿気を吸ったり吐いたりする性質がありますので、内部の結露を防ぐ効果も期待できます。
隅棟と瓦の間の隙間を埋めて、瓦の下にある葺き土(台土)を風雨から守るために施されます。


青い四角は耐震ボルトです。屋根地に留付けて隅棟の縦筋の役割をします。赤い矢印が被覆鉄筋でこれは横筋です。ステンレス線で緊結して棟の強度を上げています。被覆鉄筋にはのし瓦も緊結します。
被覆鉄筋は1段目・3段目といったふうに一段飛ばしで取り付けていきます。耐震ボルトから伸びている太めの緊結線は、上段に取り付ける被覆鉄筋を固定する為のものです。


黄色の矢印は緊結線です。耐震ボルトに固定していたものは被覆鉄筋と緊結し、のし瓦からの緊結線は被覆鉄筋に固定していきます。
屋根に固定された耐震ボルトにすべてをの建材を緊結することによって、棟が建物構造と一体化するため、地震や台風の時のズレや崩壊を防ぎます。

漆喰で仕上げをして、隅棟の完成となります。
白く仕上げられた漆喰は、雨水や強風の侵入を防ぎ、棟瓦のズレや落下を防止するだけでなく、屋根の端部を引き締め、見た目も美しく整えます。