津山市西下 石州瓦の葺き替え工事 谷部 防水シート 谷板板金取替え
石州瓦の葺き替え工事 谷部 防水シート 谷板板金取替え
屋根にはさまざまな部位がありますが、その中でも特に雨仕舞い(あまじまい)の重要なポイントとなるのが 「谷部(たにぶ)」 です。
谷部とは、屋根面と屋根面が V字に交わる凹んだ部分 のことを指し、雨水が集中して流れる「水路」としての役割を担っています。今回は谷部と、棟の一部の積み直しになるので、赤い三角の部分を施工していきます。

谷部は雨水を集中的に受け止める部分のため、
- ゴミ・落ち葉が溜まりやすい
- 板金の劣化が直接雨漏りに繋がる
- 施工精度や重ね代がシビア
などの理由で、屋根の中でも特に雨漏りリスクが高い箇所 と言われています。

谷板板金の施工では 重ね代とコーキング処理 が防水性能を左右します。谷板板金は、一本ものではなく数枚の板金を上下に重ねて施工します。
谷板は水の流れ方向に合わせて上下を重ね、150mm以上の重ね代をとり、三重のコーキングで谷板同士を接着します。


谷板板金を屋根地にしっかりと固定する為に谷板の両サイドに木材を添わせ、黄色い丸印の「つりこ(吊り子)」 と呼ばれる板金を使用します。
釘を直接谷板金に打ち込むのではなく、“吊るように” 支える工法です。
谷板金に直接釘を打つと 釘穴からの雨漏りリスク が生まれます。つりこ固定であれば、谷板板金に穴が開くことはありません。
また、谷部は雨だけでなく、風も受けます。つりこを適切な間隔で設置することで、風によって板金がばたついたりすることがないので、板金が暴れることによる瓦の割れや浮きも防ぐことが出来ます。

谷板金の左右には、「スポンジ材(バックアップ材 / 防水パッキン)」 を取り付けます。(赤い矢印)
これは単なる隙間埋めではなく、谷部の防水性と耐久性を高めるための重要な役割を担っています。
強風や大量の雨が続くと、水が逆流して隙間に吸い上がる現象(毛細管現象) が起こることがあります。スポンジ材は水の広がりや吸い込みを遮断し、谷板金の下に水が入り込むのを防ぎます。
さらに、隙間から屋根内部への落ち葉やごみ、虫や小動物の侵入も防ぐことが出来ます。

谷板に掛かる瓦を葺いていきます。瓦と谷板金が密着すると、雨水の逆流や、ゴミの堆積などが起こりえるので、10〜30mm前後(※瓦形状で調整) の隙間を確保します。


谷の形状に合わせて、接する瓦をカットし施工します。
谷部は屋根の中でも最も雨が集まり、雨漏りリスクが高い場所。だからこそ、見た目以上にシビアな施工精度が求められる部位になります。
「雨の通り道」を邪魔しない施工こそが、長寿命の屋根づくりのポイントですね。






















